Atypical polypoid adenomyoma(APA)は子宮内膜異型腺管と平滑筋成分が混合したポリープ状の腫瘍である.良性上皮性・間葉性混合腫瘍に分類されるが,再発頻度の高さと悪性化のリスクから慎重な管理が必要とされている.標準治療は子宮全摘出術であるが,30~40歳代に好発するため,しばしば妊孕性温存が問題となる.酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)療法後に妊娠し正期産に至った症例を経験したため,報告する.症例は34歳,0妊0産.前医で子宮内容除去術を行いAPA with low malignant potential(APA with LMP)と診断され当院に紹介受診となった.MRI,PET-CTで腫瘍残存なしと判断されたが,APA with LMPは再発率,癌化率がより高いため,MPA療法を6コース施行した.開始後3コースと6コースで子宮内膜全面掻爬術を行い,ともにAPA再発のないことを確認し,妊娠を許可した.治療終了から2か月後,人工授精で妊娠が成立,妊娠経過は順調で妊娠40週に経腟分娩で生児を得た.妊孕性温存治療として,子宮鏡手術(TCR),子宮内膜全面掻爬術(D&C)などが報告されているが,近年それら手術療法に黄体ホルモン療法を加えることで再発率が低下する可能性が報告され始めている.また,ホルモン療法により治療後の妊娠・出産率が向上する可能性も示唆されており,APAに対するホルモン療法の適応は今後も広く検討されるべきである.
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