女性性器形態異常は,思春期や性成熟期において機能やQuality of Lifeの改善を目的とした手術が必要となることがある.しかし症例やその手術自体が非常に稀であるため,典型的な手術になりにくく,術前の術式検討も困難なことがある.当院では各症例に応じた適切な術式を遂行するために必要な術中情報量を増やす目的として,積極的に鏡視下手術を併用している.今回当院における5例の女性性器形態異常に対する手術を対象に,鏡視下手術併用の有用性と術中に留意すべき要所について,後方視的に検討した.
症例1,2はMayer-Rokitansky-Kuster-Hauser症候群に対し,腹腔鏡下に骨盤腹膜を正確に鈍的剝離することでDavydov変法による造腟術を遂行した.症例3は子宮頸部-体部離断に対し子宮鏡の照明光を透見させて頸部-体部の適切な吻合部位を決定し,吻合術を施行した.症例4は術前画像検査でOHVIRA症候群を疑うも患側子宮の正常子宮への接合部が不明瞭であった例に対し,腹腔鏡下に解剖構造を把握し患側子宮全摘出術を遂行できた.症例5はWunderlich症候群に対し,腹腔鏡補助下に安全かつ十分な頸管開窓術を遂行できた.
今回,様々な女性性器形態異常に対し,鏡視下手術を併用することで各症例に応じた術式を決定し,安全かつ確実に手術を遂行できた.
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