【緒言】
子宮筋腫は妊娠適齢期女性において頻度の高い疾患であり,筋腫合併妊娠は比較的よく遭遇する病態である.今回我々は筋腫分娩様に腟内に突出した巨大子宮頸部筋腫合併妊娠の1例を経験したので報告する.
【症例】
32歳,3妊1産(経腟分娩1回,自然流産1回).自然妊娠成立後,無月経11週に当院を受診した.初診時には腟内を占拠する7 cm大の子宮筋腫を認め筋腫分娩が疑われた.MRI検査(妊娠15週)にて,子宮頸管後壁との境界が不明瞭な9 cm×6 cm×9 cmの腫瘤が腟内に突出しており,筋腫は子宮頸部後壁発生の頸部筋腫であると診断した.妊娠中は経過観察の方針とし,特に有害事象の発症はなかった.筋腫が腟内を占拠していたため,経腟分娩は困難と判断し,帝王切開術の方針とした.妊娠36週4日に選択的帝王切開術を施行し,出血リスクを考慮して筋腫切除は行わなかった.児は1,915 gの女児で,Apgar score 8/9点(1/5分値)であり,構造異常は認めなかった.また,術中出血量は818 gで診察でも有茎性筋腫ではなく,子宮頸部後壁発生の頸部筋腫であることを確認し,悪露流出可能を確認後に手術を終了とした.術後経過良好にて術後7日目に退院した.
【結語】
頸部筋腫と有茎性筋腫分娩との鑑別にMRI検査は有用であり,頸部筋腫と筋腫分娩の鑑別を行えたことで経過観察を行い,良好な予後を得られた.
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