【目的】近年,Palliative Prognosis Index(PPI)を用いて終末期癌患者の月単位,週単位の予後を推定している.婦人科癌では死亡する数週間前まで化学療法を行い,その後急激に全身状態が悪化し死に至る症例をしばしば経験する.他の固形癌と比較して婦人科癌では病状悪化に伴う症状や病態が異なり,PPIでは予後を正確に反映しない可能性がある.適切なタイミングで化学療法を中止し終末期医療へ移行するために,婦人科癌の病態を反映した予後予測因子の抽出を目的とした.
【方法】2016年から2018年までに当院で婦人科癌が原因で死亡した症例を対象とし,初診時と死亡6か月前から死亡時までの全身状態や症状,身体所見,血液検査結果,PPI,Prognostic Nutritional Index(PNI)を後方視的に検討した.
【成績】PPIは週単位の予後予測に有用であり,6.5をカットオフとすると約2週間の予後を反映した.一方でPNIは30をカットオフとすると,約1~2か月の予後を予測した.このPNI値30を指標として,その後に化学療法を施行した群と施行しなかった群においてその予後に差は認めなかった.
【結論】婦人科癌の終末期において化学療法の中止や終末期医療の介入のタイミングの推測にはPNIが有用であり,そのカットオフは30とすることで1~2か月の予後を鋭敏に反映することが示唆された.
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