常位胎盤早期剝離(早剝)は,妊娠中期での発症は少ない.また児が生存している妊娠中期の早剝は児の未熟性から待機的管理も選択肢となり得る.我々は児の胎外での生存が困難な妊娠週数で早剝・子宮内胎児死亡(IUFD)になった2症例を経験した.【症例1】33歳,2妊1産.妊娠17週3日に性器出血あり前医を受診し,IUFD・血液凝固能異常で当院へ母体搬送された.胎児心拍消失と胎盤肥厚,胎盤辺縁の血腫を認め,血液検査と合わせて早剝・IUFDと診断した.抗DIC治療のうえ経腟分娩とした.【症例2】40歳,2妊1産.妊娠22週1日に性器出血あり前医を受診し,前置胎盤による警告出血が疑われ当院へ母体搬送された.胎盤は常位だったが辺縁に血腫を認めた.早剝を考えたが,胎児心拍数陣痛図でreassuring fetal statusであり,胎児の生存が困難な週数であったため,本人・家族と相談の上妊娠を継続した.その後,腹痛および出血量増加があり,再度経腹超音波検査を行ったところ,胎児心拍消失と胎盤肥厚を認めた.早剝・IUFDと診断し,抗DIC治療のうえ経腟分娩とした.【結語】妊娠中期の早剝は稀であるが存在するため念頭に置いた管理が必要になる.また児が生存している場合,児の未熟性から待機的管理も選択肢となるため,方針の決定およびその管理が困難である.
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