子宮動脈塞栓術(Uterine artery embolization;UAE)は産後出血に対し有用な止血手段だが,UAE後に子宮摘出を要した症例を経験した.症例1:41歳,38歳時に子宮筋腫に対しUAE実施歴あり.体外受精で妊娠.妊娠37週4日,妊娠高血圧症候群,骨盤位のため緊急帝王切開を実施した.胎盤剝離困難で癒着胎盤と判断し胎盤を残し閉腹した.術後3時間で1,008 gの出血を認めUAEを実施し総出血量は約3,900 gであった.術後発熱あり抗生剤を投与し術後26日に退院したが術後28日より再度発熱したため,再入院し抗生剤再開した.炎症反応改善せず,術後41日に癒着胎盤,子宮内感染のため腹腔鏡下子宮全摘出術を実施した.病理組織学的に楔入胎盤であった.症例2:40歳,38歳時に子宮筋腫に対し腹腔鏡下子宮筋腫核出歴あり.体外受精で妊娠.子宮筋腫核出後妊娠のため妊娠38週1日に帝王切開を実施した.弛緩出血のため子宮収縮剤投与,バクリバルーンを子宮内に挿入した.出血量は羊水込みで3,065 g,帰室後出血が増加しUAEを実施したが止血得られず腹式単純子宮全摘術を施行した.総出血量は9,215 gであった.病理組織学的に部分的癒着胎盤が示唆された.結語:産科危機的出血に対してUAEは有用だが,癒着胎盤症例ではUAE不成功となる可能性も考慮するべきである.
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