妊娠初期に二絨毛膜二羊膜性双胎(dichorionic diamniotic twin:DD双胎)の一児を無頭蓋症と診断し,妊娠継続を決め,周産期管理を行った症例を経験したので報告する.症例は37歳,初産婦,凍結融解胚盤胞移植で妊娠した.妊娠11週,経腹超音波検査で1児が無頭蓋症の双胎と診断した.希望で施行した母体血胎児染色体検査(Noninvasive prenatal genetic testing:NIPT)は陰性であった.本妊娠についてのカウンセリングを実施し,妊娠継続が選択された.妊娠経過中切迫早産兆候を示さず妊娠37週2日,分娩誘発を行ったが,分娩停止にて帝王切開分娩となった.健児は2,307 g,男児,Apgar score1/5分値は8/9点,一過性多呼吸のため新生児科に入院となった.患児1,805 g,男児,Apgar score1/5分値は8/9点,頭蓋底が上皮化され頭蓋骨より上部は欠損,脳幹は軟部組織に覆われた無頭蓋児であり,出生後5日に新生児死亡となった.
DD双胎の1児に致死的異常を伴い,それが健児の妊娠経過に不利益を与える場合,本邦では選択的中絶(feticide)は一般的ではなく,両児とも同一方針(妊娠継続もしくは中断)を選択することが多い.患者およびその家族が妊娠を継続する場合はリスクとベネフィットを十分に説明し,対応することが重要であると考えられた.
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