【目的】妊娠初期にNuchal Translucency(NT)が高度に肥厚していた例の妊娠転帰を確認する.【方法】2013年9月から2018年8月に当院で妊娠初期超音波検査を行った例のうち,NT計測値が5.5 mm以上であった単胎162例を6.5 mm以上(A群:112例)及び5.5 mm~6.4 mm(B群:50例)の2群に分け,それぞれについて染色体検査結果と妊娠転帰について調査した.【成績】染色体検査が行われた119例中,A群82例中23例(28%),B群37例中16例(43%)では染色体核型正常であった.A群ではこの23例中12例で,B群ではこの16例中転帰不明の5例を除いた11例にNIPT陰性2例および染色体核型47,XXYの1例を加えた14例で,生児を得られたことが確認された.A群23例中6例において子宮内胎児死亡がみられた.A群では生存例12例中4例に合併症を認めたが,B群の14例中ではKleinfelter症候群の1例の他には,小奇形が1例みられたのみであった.【結論】NT肥厚の厚みに応じて染色体異常は増加し,生児を得られる率は低下したが,6.5 mm以上の厚みを示すケースでも正常児が得られる例が確実に存在する.一方で,染色体正常でも様々な合併症を持つ例が存在するため,慎重な管理を要する.
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