メッシュを用いず患者自身の組織を用いた修復(native tissue repair:NTR)として腟断端仙骨子宮靭帯固定法(Shull法)があるが,重度の骨盤臓器脱では腟管が長いことや仙骨子宮靭帯が過伸展していることから腟断端への固定では牽引が不十分である.そこで,骨盤臓器脱(POP-Q:stage IV)に対し腹腔鏡下に仙骨子宮靭帯を腟断端よりもさらに低位の腟管背側へ固定することで十分な牽引を行う方法を行い有用性を検討した.2018年4月~2018年12月の期間にPOP-Q:stage IVと診断された骨盤臓器脱症例2症例を対象に上記術式を行った.有用性の評価は手術前と術後1か月に,POP-Q法による計測,P-QOL質問票を用いた自覚症状の変化によった.POP-Q法による評価では症例1,2ともに全ての測定部位で術前よりも顕著に改善し,P-QOL質問票を用いた自覚症状のスコアの平均値は症例1,2ともに術前よりも改善した.骨盤臓器脱(POP-Q:stage IV)症例に対し,腹腔鏡下腟管仙骨子宮靭帯固定術は自他覚症状を改善し今後の検討に値する手術法として期待される.
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