【緒言】子宮手術後の妊娠が増加した近年では子宮破裂のリスクを念頭に置いた母体管理がより一層重要である.今回我々は子宮筋腫核出既往で妊娠30週に子宮破裂をきたし胎児死亡となった一例を経験したので報告する.【症例】36歳.2妊0産.5年前に多発子宮筋腫に対する腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術,1年前にAsherman症候群に対する子宮鏡下内腔癒着剝離術の既往があった.体外受精により妊娠成立し前医で妊婦健診を受けていた.妊娠29週1日に腹痛を自覚し入院,切迫早産としてリトドリン塩酸塩点滴下で加療された.妊娠30週4日に症状が軽快し退院の方針となっていたが,腹痛が再度出現.1時間半ほど鎮痛薬で経過観察されたが,疼痛の増悪と嘔吐が出現,血圧低下および胎児徐脈を認め,さらに2時間後に子宮破裂の疑いで当院搬送となった.前医出発時に胎児心拍は消失しており,当院到着時に母体はショック状態で,子宮破裂・胎児死亡の診断で開腹手術の方針となった.開腹時,4,800 mlの腹腔内出血を認め,子宮底部が10 cm断裂し,児が羊膜ごと腹腔内に娩出されていた.破裂部を縫合・修復し止血が得られ,子宮を温存することができた.【考察】当院で2006~2018年に経験した7例の子宮筋腫核出後の子宮破裂のうち3例は切迫早産の加療中に発症した.子宮手術既往がある妊婦の腹痛は子宮破裂の徴候である可能性もあり,早期診断の上迅速な娩出を考慮する必要がある.
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