Swyer症候群は,染色体核型が46,XYで表現型が女性を示す完全型性分化疾患である.本疾患は,性分化疾患の中でも外性器や外見からは発見されにくく,原発性無月経や卵巣腫瘍を主訴に発見されることが多い.本邦では,未成年のうちに原発性無月経を主訴に受診する例が多く,成人後に発見されるSwyer症候群の報告は多くはない.今回我々は,成人後に原発性無月経を主訴に来院し,Swyer症候群と診断したものの,成人後であるためにInformed Consentや治療に苦慮した症例を経験した.本症例の治療経過を報告し,成人後に診断された本疾患に対する望ましい対応や治療について考察する.
本患者は22歳の未経妊の女性で,就職を控えた時期に無月経を主訴に当院外来を受診した.内分泌検査でhypergonadotropic hypogonadismを呈しており,染色体核型は46XYであったことからSwyer症候群と診断した.本人へのInformed Consentを行ったのちにカウンセリングも行い,腹腔鏡下に性腺摘出術を行った.病理組織検査では瘢痕化した性腺組織のみで悪性所見は認めなかった.術後は本人の服薬コンプライアンスに合わせて剤型を調整しながらホルモン補充療法を施行している.成人後に性分化疾患と診断される症例については,本人へのカウンセリングを慎重に行いつつ,社会生活を送る中での治療方針について個別の対応をしていくことが重要であると考えられた.
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