子宮腺筋症核出術後の妊娠では子宮破裂の頻度が高いと報告されるが,どのような症例で起こりやすいかは分かっていない.
症例は38歳1妊0産.36歳時に子宮腺筋症に対して腹腔鏡下子宮腺筋症核出術の既往がある.妊娠25週6日就寝中に突然の腹痛があり前医を受診し,性器出血を認め常位胎盤早期剝離の疑いで当院へ母体搬送された.到着時の経腹超音波検査で胎児死亡を確認し,胎盤辺縁に連続する低エコー像を認めた.胎盤後血腫と考え,常位胎盤早期剝離の診断で待機的経腟分娩の方針とした.翌日血腫と考えていた部位に内腔構造を認め,子宮破裂を疑い造影MRI検査を行ったところ,胎盤後血腫と考えていた部分は収縮した子宮であり,胎児は卵膜を保った状態で腹腔内に脱出していた.全子宮破裂と診断し,緊急手術を行った.子宮は超手拳大に収縮し,子宮底部から後壁にかけて裂創を認めた.創部はトリミングした後,筋層を3層に単結紮縫合し,子宮を温存した.以前の手術記録から子宮腺筋症核出術創部と破裂部位は一致していた.なお,前医の妊婦健診記録より胎盤は子宮底部から後壁に付着しており,破裂部位に胎盤が付着していたと考えられた.
子宮腺筋症核出術後の子宮破裂の報告のうち,手術創部に胎盤が付着している例が散見され,今回の症例も同様であった.子宮腺筋症核出創部に胎盤が付着している場合,子宮破裂のリスクが高いと考えて周産期管理を行う必要がある.
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