【目的】低用量アスピリン・ヘパリン併用療法は不育症に対して行われるが,本療法施行例の周産期予後を検討した報告は少ない.本研究では,その周産期予後の特徴を検討することを目的とした.
【方法】当院で低用量アスピリン・ヘパリン併用療法を施行した267例のうち,妊娠22週以前の分娩,多胎妊娠,血栓症既往例を除外し,ループスアンチコアグラント陽性,抗カルジオリピン抗体陽性,抗カルジオリピンβ2糖タンパク質I抗体陽性,プロテインC/S 欠乏症のいずれかが認められた65例を対象とした.調査項目として分娩週数,児の出生時体重,妊娠合併症,新生児集中治療室入院率等の周産期予後を検討した.
【結果】分娩週数及び児の出生時体重はそれぞれ38.0±2.4週,2,777.5±608.5 g(平均±標準偏差)であった.早産児と低出生体重児の発生率はそれぞれ12例(18.5%),18例(27.7%)であった.他の周産期予後は良好であり子宮内胎児死亡の発生率は1例(1.5%)と以前の妊娠時(10例,15.4%)に比べて減少した.本療法の中止を要する重篤な有害事象は認められなかった.
【結語】低用量アスピリン・ヘパリン併用療法施行例では早産児・低出生体重児の発生率が高く,慎重な妊娠分娩管理が必要である.
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