子宮頸部すりガラス細胞癌(Glassy cell carcinoma)は腺扁平上皮癌の一亜型であり,全子宮頸癌の約1.2~5.4%と稀な腫瘍である.病変の進行が早く,放射線療法や化学療法に治療抵抗性であり,予後不良と言われていたが,近年では長期生存も報告されている.今回我々は,妊娠初期の子宮頸部細胞診でNILMであったが,陣痛発来時に子宮頸部すりガラス細胞癌IB2期(日産婦2011,FIGO2008)が判明した1例を経験した.症例は33歳女性 3妊2産(今回妊娠含む,経腟分娩2回).妊娠39週3日に分娩誘発目的に近医に入院した.内診時,外子宮口後方に腫瘤を触れ,性器出血が増加したため当院へ母体搬送となった.搬送後,腟鏡診時に子宮頸部後唇に腫瘤を認め浸潤癌を疑い,腫瘤の一部を迅速病理検査に提出したところ悪性腫瘍の診断となり,緊急帝王切開術を施行した.術後,がん専門病院に転院し,広汎子宮全摘術,両側付属器切除術を施行した.摘出標本の病理検査の結果,すりガラス細胞癌の最終診断であった.術後化学療法を6サイクル行い,初回治療から12か月無病生存中である.妊娠初期の子宮頸部細胞診で異常がない場合でも,切迫流早産と関連のない繰り返す性器出血を認める場合は,細胞診,コルポスコピー,組織診を必要に応じ繰り返し施行することが肝要である.
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