臍帯付着部異常は,卵膜付着,辺縁付着,前置血管に分けられる.卵膜付着は全分娩の1~2%,双胎妊娠では12%の出現頻度である1).
卵膜付着では遊走血管が子宮下部(内子宮口から子宮底までを三等分し下部三分の一)に存在する場合,または60 mm以上の遊走血管を認める場合は,Non-Reassuring Fetal Status(NRFS)と緊急帝王切開率が高いと言われている.症例は妊娠30週時の2Dエコーで臍帯は子宮下部前壁へ45 mm以上,MRIでは子宮下部に少なくとも80 mm以上の遊走血管を認めた.ハイリスク症例として入院管理し,妊娠37週での選択的帝王切開を予定した.妊娠36週時に陣痛発来したため緊急帝王切開を行い,子宮は遊走血管を破綻させないようにJ字切開して児を娩出した.遊走血管の走行はMRIで想定できた.臍帯は2A1V,約200 mmの長さで臍帯動静脈が1本ずつ卵膜を走行し,分岐をしながら卵膜に付着していた.臍帯卵膜付着のリスク評価に2Dエコーと胎児胎盤MRIが有用であった.
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