原発性マクログロブリン血症（Waldenstrom's macroglobulinemia：WM）は低悪性度のB細胞性リンパ腫であり，まれな疾患である．近年はリツキシマブ（R）を加えた併用化学療法により予後が改善しているが，中悪性度のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫（diffuse large B-cell lymphoma：DLBCL）への形質転換を示すことが知られている．症例は65歳，2妊2産．55歳でWMと診断され，CHOP（シクロホスファミド，ドキソルビシン，ビンクリスチン，プレドニゾロン）療法，R-CHOP療法，R療法により寛解し経過観察していた．労作時息切れで再診し，CTで子宮増大を認めた．MRIのT2強調像で子宮全体が均一な高信号を呈し，拡散制限は高度であった．FDG-PETで子宮，後腹膜リンパ節，骨髄にFDG集積を認めた．WMの再発またはDLBCLへの形質転換の子宮病変もしくは子宮原発の悪性リンパ腫を疑い，組織診断および腫瘍減量目的に摘出術の方針とした．術直前に子宮動脈塞栓術を施行し，続いて腹式子宮全摘出術，両側付属器摘出術，後腹膜リンパ節生検を施行した．病理組織診断で摘出標本のすべてにDLBCLを認め，WMのDLBCLへの形質転換の子宮浸潤が考えられた．術後にR-ESHAP（エトポシド，シスプラチン，シタラビン，プレドニゾロン）療法を施行し，完全奏効を認めた．