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第58巻 第1号

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症例報告
Superficial cervicovaginal myofibroblastomaの一例
吉岡 和樹, 小林 光紗, 近藤 有紀, 伊賀 健太朗, 曽我 江里, 小林 浩治, 鈴木 貴士, 村越 毅, 安達 博
聖隷浜松病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(1):73-78, 2021

 Superficial cervicovaginal myofibroblastoma(以下SCVM)は外陰部・腟に発生する稀な良性間葉系腫瘍である.閉経前後の女性に好発し,発育は緩徐で転移を来さず,再発は稀である.今回SCVMの一例を経験したため報告する.
 症例は47歳,3妊2産,乳癌既往があり,タモキシフェンを7年間内服中である.腟口からの腫瘤の脱出を主訴に当院紹介となった.腟鏡診にて腟前壁上1/3に腟粘膜に覆われるポリープ状腫瘤を認め,ポリープ内部に約30 mmの球形,弾性硬の結節を触れた.骨盤MRI検査所見では境界明瞭でT1強調画像で等信号,T2強調画像で等信号と高信号が混在し,造影MRIで強く造影される腫瘤が認められた.症状の緩和及び組織診断目的に腟壁腫瘤摘出手術を行った.摘出した腫瘤は境界明瞭な黄白色結節性腫瘤であった.病理組織学的検索では波状の細胞とレース状,篩状などの様々なパターンで増生する膠原繊維よりなり,同一腫瘤内に細胞密度の差が見られた.免疫染色にてdesmin,CD34,ERが陽性を示した.以上より本症例をSCVMと診断した.
 外陰部・腟壁に発生する良性間葉系腫瘍は組織によってその局所再発・転移の頻度が異なる.詳細な組織学的検索を行い確実な鑑別を行う必要がある.

Key words:Myofibroblastoma, Vulva neoplasm
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