性腺外卵黄囊腫瘍は,仙尾骨部や縦隔に好発するが,骨盤内発生はまれである.今回,初回手術後の残存腫瘍の有無が術後経過に影響を及ぼしたと考えられる骨盤内発生の性腺外卵黄囊腫瘍の2症例を経験したために報告する.
症例1は腹痛を主訴とした36歳の女性で,MRI検査で子宮体部前面から発生した長径7 cmの充実性腫瘤が認められた.腫瘤は両側卵巣とは連続性がなく,AFPは23,887 ng/mlと上昇していた.子宮とともに腫瘤を摘出し,肉眼的残存腫瘍なく手術を終了した.病理診断は子宮漿膜から発生した性腺外卵黄囊腫瘍で,BEP療法を4コース施行し治療後28か月間再発なく経過している.
症例2は39歳女性でMRI検査にてダグラス窩に長径9 cmの充実性腫瘤が認められ,AFPは16,107 ng/mlと高値であった.腫瘤摘出術を試みたが,腫瘤は直腸前壁から発生しており,一部を残したまま手術を終了した.摘出腫瘍の病理診断は性腺外卵黄囊腫瘍であった.BEP療法を3コース施行し,画像上病変が消失したために治療を終了したが,7か月後に腫瘍残存部に再発した.再度腫瘍摘出術を試みたところ,今度は残存なく腫瘍摘出が可能であった.その後VeIP療法を3コース施行し,治療後72か月間再発はない.
性腺外卵黄囊腫瘍はまれな疾患のため標準治療法は確立されていないが,腫瘍の完全切除が予後改善に寄与する可能性が考えられた.
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp