子宮内膜症が骨盤腹膜に存在することは多いが,囊胞形成することは稀である.また,異型を伴う骨盤腹膜子宮内膜症の報告は少ない.今回,骨盤腹膜に発生した異型を伴う子宮内膜症性囊胞の1例を経験したため報告する.症例は34歳.続発性不妊のため治療目的に受診した前医で右付属器領域に6 cm大の腫瘤性病変を指摘され,精査加療目的に当院紹介となった.MRIでは右付属器領域腹側にT2WIで低信号,T1WIで高信号の6.5 cmの境界明瞭な腫瘤を認めた.右卵巣は近接して同定でき,出血を伴う傍卵巣腫瘍もしくは右卵巣内膜症性囊胞疑いとして腹腔鏡下腫瘍摘出術の方針となった.鏡視下で腹腔内を観察すると,両側付属器は正常所見で同定され,腹壁右側の膀胱よりやや頭側に内膜症性囊胞の発育を認めた.術前に指摘された腫瘍と判断し,腹膜を一部切除する形で全摘出した.その他腹腔内に内膜症性病変は認めなかった.腫瘍の病理診断はendometriotic cyst with atypiaであり,現在術後の経過観察中である.
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