【目的】
婦人科悪性腫瘍に対するパクリタキセル・カルボプラチン(TC)療法の際の3剤併用制吐療法において,5-HT3受容体拮抗薬(5-HT3)第二世代の第一世代に対する優位性を示す確たるエビデンスはない.しかし薬価は第二世代のパロノセトロンは第一世代のグラニセトロンと比較し約5.9倍であり,医療費を逼迫する要因となりうる.今回,婦人科悪性腫瘍に対し,TC療法を実施した患者において,5-HT3第二世代に対して第一世代は非劣性であるとの仮説のもとにパイロットスタディを行った.
【方法】
2018年6月から2020年5月までに当科でTC療法を実施した,化学療法歴のない,満20歳以上の患者を対象とした.化学療法前にNK1受容体拮抗薬,デキサメタゾンに加えて,パロノセトロン(P群)またはグラニセトロン(G群)をランダムに割付し,前方視的に解析した.主要評価項目は遅発期嘔吐完全制御率とした.
【成績】
症例数はP群17例,G群18例であり,患者背景に有意差を認めず,主要評価項目に有意差は認めなかった(p=0.61).重篤な有害事象を認めなかった.本研究をもとにサンプルサイズを計算すると合計180名で非劣性を示すことが可能である.
【結語】
今回のパイロットスタディをもとに,第III相臨床試験を行い,5-HT3第二世代に対する第一世代の非劣性を示すことが可能である.
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