(緒言)オラパリブは卵巣癌の白金系感受性再発の維持療法およびBRCA遺伝子変異陽性初回化学療法後の維持療法に承認されている.当院での使用経験をまとめた.(方法)2020年3月までにオラパリブ投与を開始した症例を対象に安全性と有効性について後方視的に検討した.(結果)再発例31例,初発例4例,内服期間の中央値は再発例7か月(1~22か月),初発例6.5か月(3.5~7か月)であった.有害事象の発生傾向やG3以上の頻度は既報告と同様であったが,腎機能により投与量調整を要した頻度は高かった.開始後に休薬,減量した9例中8例が開始時にCcr値60 ml/min未満かつ65歳以上で,開始後比較的早期に対応を要した.再発例のPFSは8か月,OSは28か月であった.Non-PDとPDの比較で既往レジメン数,内服開始時のCA125値,内服期間に有意差を認め,PFSに関連する因子として既往化学療法が2レジメン以上,直前の化学療法4コース以下,開始時のCA125が13.4 U/ml以上,の3項目が抽出された.(結語)既報告と比較し重篤な有害事象なく使用可能で,同等な予後を得られた.開始時にCcr 60 ml/min未満かつ65歳以上の症例では特に腎機能の悪化に注意を要すること,再発例では初回再発治療時に,CA125が十分低下するまで化学療法を5コース程度行うことが考慮されること,が示された.
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp