分娩あるいは自然流産の終了後に持続性の性器出血をきたした場合,弛緩出血,胎盤遺残,子宮内膜ポリープ,絨毛性疾患など多くの疾患が鑑別に挙がる.さらに,カラードプラを用いた経腟超音波断層法で子宮内に血流を有する腫瘤を認める場合,子宮動静脈奇形,胎盤ポリープ(retained products of conception;RPOC),仮性動脈瘤といった異常血管増生を伴う疾患を考える.これらの疾患においては掻爬による摘出を試みることは危険である.子宮摘出術が根治治療になるが妊孕性温存が不可能となる.子宮を温存し,選択的子宮動脈塞栓術を行う場合,侵襲的であり,妊孕性低下が懸念される.保存的に管理し経過観察のみで腫瘤の自然消退を認める場合も少なくないものの,経過中に大出血をきたす懸念がある.分娩ないし流産後の持続出血に対する管理指針は定まっておらず,治療は個々の症例ごとになされている.今回我々は,分娩後性器出血をきたし,カラードプラで血流を有する腫瘤を認めた症例を集積し,経過観察中の自然治癒の可能性について考察を行った.
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