前置血管には臍帯卵膜付着を伴うtype 1と副胎盤や分葉胎盤の間を卵膜血管が走行するtype 2のほか,臍帯卵膜付着や副胎盤,分葉胎盤を伴わないtype 3がある.前置血管type 3は臍帯卵膜付着や副胎盤,分葉胎盤を認めないため,出生前に診断されない可能性がある.
症例1は35歳,1妊0産.凍結胚盤胞移植で妊娠成立し,妊娠24週に辺縁前置胎盤,前置血管が疑われ紹介初診した.妊娠26週に低置胎盤,臍帯は辺縁付着で,副胎盤,分葉胎盤は認めなかったが,前置血管を認めた.妊娠35週に選択的帝王切開術を行った.胎盤を離れて走行し再度胎盤に向かう卵膜血管を認めた.臍帯は辺縁付着で,副胎盤や分葉胎盤は認めず前置血管type 3と診断した.
症例2は31歳,2妊0産.自然妊娠成立し,妊娠18週に辺縁前置胎盤が疑われた.妊娠30週では常位胎盤で臍帯は辺縁付着で,副胎盤,分葉胎盤は認めなかったが,前置血管を認めた.妊娠35週に選択的帝王切開術を行った.胎盤を離れて走行し再度胎盤に向かう卵膜血管を認めた.臍帯は辺縁付着で,副胎盤や分葉胎盤は認めず前置血管type 3と診断した.
妊娠第2三半期に低置胎盤,前置胎盤を認めた症例は,臍帯卵膜付着や副胎盤,分葉胎盤を認めなくとも,前置血管の可能性を念頭に注意深く観察する必要がある.
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