子宮内膜症関連卵巣癌(endometriosis-associated ovarian cancer;EAOC)は子宮内膜症から発生する卵巣癌として知られている.今回,子宮内膜症性囊胞から発生した明細胞癌治療後の経過観察中に骨盤内腫瘍を認めて明細胞癌の再発を疑い腫瘍切除術を行ったところ,子宮内膜症から発生した漿液粘液性境界悪性腫瘍の診断に至り,異時性に異なる組織学的サブタイプのEAOC症例を経験したので報告する.
症例は49歳,1妊0産.初回手術時の摘出した右卵巣腫瘍における病理組織像は内膜症を背景に淡明細胞やhobnail状細胞によって構成された明細胞癌を認め,内膜症から発生した明細胞癌と診断した.2回目の手術時に摘出した骨盤内腫瘍の病理組織像においては内膜症を背景としていたが一部に漿液性上皮,類内膜上皮,粘液性上皮が乳頭状に増殖し,子宮内膜症から発生した漿液粘液性境界悪性腫瘍と考えられた.
卵巣癌の再発が疑われる状況であっても,異時性発症の異なる腫瘍であることがあり,積極的な手術をすることで病理組織学的に確実な診断が得られ治療方針の一助になり得ることが示された.
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