膀胱瘤及び子宮脱に対して腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)を施行し,偶発的にSTICと診断された症例を経験した.症例は74歳,2妊2産.1年前より続く外陰部の違和感を主訴に前医を受診した.膀胱瘤及び子宮脱と診断され,手術目的で当院泌尿器科に紹介され受診した.膀胱瘤と子宮脱の診断となった.術前の子宮頸部及び内膜細胞診は共に陰性であり,LSCを施行する方針とした.子宮頸部を切断して子宮と右附属器を摘出し,メッシュで子宮と腟をつり上げ,手術終了した.病理組織学検査では,クロマチンが増量・濃縮し,核の大小不同・腫大を認める異型細胞が,右卵管上皮層に3 mm大の範囲で置換性増殖しており,免疫組織学的検査では,p53は一部陽性,Ki-67は全体の10%以上が陽性であった.STICの診断であった.CA125は20.6 U/mlで,骨盤MRI検査及び胸腹骨盤部CT検査でも骨盤内及び全身に明らかな異常病変はなかった.staging laparotomyとして大網部分切除術,骨盤及び傍大動脈リンパ節生検を施行した.いずれの検体にも病理組織学的に悪性所見はなかった.術後補助化学療法は施行せず,経過観察し,現在,術後8か月,再発徴候なく経過している.
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