再生不良性貧血合併妊娠は稀だが,妊娠中に増悪すると母子に重篤な影響を及ぼすこともあるため厳重な管理が必要となる.我々は血液内科,麻酔科と連携して周産期管理を行い,帝王切開分娩においては脊髄くも膜下麻酔を選択した2症例を経験したので報告する.
症例1は32歳初産婦.10歳頃に再生不良性貧血の診断を受けた.妊娠16週より輸血療法を開始して妊娠管理を行なっていたが,血小板数が2.0万/μl以下まで低下したため妊娠33週に当センターに紹介受診となった.同日入院管理,妊娠継続し妊娠38週に分娩誘発の方針とした.誘発中に胎児機能不全の適応で,緊急帝王切開術を施行.児は2,348 gの女児.分娩後より母子同室し,順調な経過で産褥7日に母子ともに退院となった.
症例2は32歳2妊1産.第一子分娩後に再生不良性貧血の診断となった.妊娠18週より輸血療法を開始したが,血小板数は1万/μl台で推移し,妊娠33週に管理入院となった.妊娠35週に胎児発育不全,再生不良性貧血増悪の適応で帝王切開術を施行.児は1,869 gの女児.母親は産褥10日に退院.児はNICU入院となったが,日齢16に退院した.
2症例とも帝王切開術の麻酔法は脊髄くも膜下麻酔を選択し,産後は輸血をせずに経過した.
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