Growing teratoma syndrome(GTS)は,悪性胚細胞腫瘍に対する化学療法中や終了後に,腫瘍マーカーが正常化するにも関わらず病変が増大し,病理学的には成熟奇形腫のみから構成される病態である.症例は27歳,0妊,未婚,4年前に左卵巣腫瘍茎捻転で左付属器切除術が行われ,卵黄囊腫瘍と診断された.BEP療法5サイクル後もαフェトプロテイン(AFP)は陰性化せず,ブレオマイシンの投与上限を超えたためEP療法へ変更した.3サイクル追加後にAFPは陰性化し,治療を終了した.治療終了後3か月頃から骨盤内腫瘍の増大を認め,診断目的に骨盤内腫瘍摘出術を行った.病理組織学的には成熟奇形腫成分のみを認め,GTSと診断した.その後1年かけて,腹腔内に囊胞性病変が多発し,横隔膜下病変は肝実質を圧排するようになった.横隔膜部分切除を行い,大部分の腫瘍を摘出したが,微細な横隔膜の播種様病変は残存した.本症例のように,播種性にGTSを発症した場合には,完全切除が困難な場合があり,治療に難渋することがある.
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