異所性妊娠を腹腔内所見なしに着床部位を確定することは困難であり,術前診断が重要である.今回当院で治療を行った間質部周囲の異所性妊娠のうち,腹腔鏡がその着床部位診断・治療に有用であった3例を報告する.【症例1】36歳,妊娠歴なし.排卵誘発薬を用いタイミング法で妊娠成立.排卵日より妊娠8週5日に右卵管間質部妊娠疑いで当院紹介.腹腔鏡下に観察し右卵管間質部妊娠と診断して開腹術に移行し,右卵管間質部切除・卵管切除術を施行した.【症例2】35歳,妊娠歴なし.卵管留水腫に対して両側卵管切除の既往あり.体外受精の移植日より妊娠6週5日に異所性妊娠疑いで当院紹介.超音波検査では着床場所が特定できず,造影MRIで左卵管または腹膜妊娠の疑いとなった.腹腔鏡下に観察し,左卵管遺残に妊娠した異所性妊娠と診断,同部位を切除した.【症例3】26歳,妊娠歴なし.最終月経より妊娠7週4日に,右卵管間質部妊娠疑いで,前医で腹腔鏡下に観察されたが,確定診断には至らず当院紹介となった.妊娠8週2日に胎児心拍消失,造影MRIで右卵管間質部妊娠が疑われた.腹腔鏡下に観察し,右卵管間質部妊娠が否定できたので,真空手動吸引法で子宮内容除去術を行った.【結論】異所性妊娠において,間質部妊娠が疑われるような場合は,腹腔鏡による腹腔内観察を行うことにより,迅速に低侵襲に確定診断と適切な治療介入が可能となる.
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