子宮体部悪性腫瘍との鑑別を要した子宮頸部中腎癌を経験した．
　症例は71歳，1妊1産．不正性器出血を主訴に当科初診．腟鏡診にて子宮頸部は正常，骨盤造影MRI検査にて子宮体部筋層を占める4 cm大の腫瘤を認めた．造影CT検査ではリンパ節腫大や遠隔転移を認めなかった．CA125，CA19-9，CEAは正常範囲内，子宮頸部細胞診は陰性，子宮内膜細胞診は疑陽性，子宮内膜組織診では正常内膜組織のみを認めた．子宮体部悪性腫瘍を疑い，腹式単純子宮全摘出術，両側付属器切除術を施行した．病理組織学検査にて，子宮体部筋層を主座に子宮頸部間質に連続的に浸潤する腺癌像を認め，免疫組織化学検査にて，腺癌細胞はCD10陽性，ER陰性，カルレチニン部分陽性，TTF-1陽性であった．子宮体部原発中腎様癌FIGO Stage IIB期の診断にて術後補助化学療法を開始後，病理組織診断の追加検討にて，子宮頸部間質内に中腎管過形成像および腺癌への移行像を認めたため，子宮頸部中腎癌FIGO Stage IB3期と最終診断された．術後2年現在再発を認めていない．