子宮内膜症合併妊娠において,様々な周産期合併症,特に前置胎盤のリスクが高いことが近年報告されている.しかし子宮内膜症が前置胎盤を引き起こす機序や予防については明らかにされていない.
他方,子宮内膜症は手術以外の臨床所見や血液検査・画像所見のみで診断するには限界があり,分娩時に子宮内膜症を合併していたかどうかは不明である.
今回我々は,帝王切開術を行った患者に着目し,帝王切開時の実際の腹腔内所見と既往歴を元に,胎盤位置異常群における子宮内膜症の合併率,胎盤位置異常群における子宮内膜症発生部位と子宮後壁癒着を伴う割合を算出し,子宮内膜症と前置胎盤の関連について検討した.子宮内膜症合併率は胎盤位置異常群で35.0%(42/120),対照群で16.3%(39/240)であり,胎盤位置異常群で有意に高かった(OR 2.77;95% CI:1.66~4.61;P<0.001).胎盤位置異常群での子宮内膜症発生部位は,子宮後壁に多く,30.0%(36/120)で子宮後壁癒着を伴い,対照群3.8%(9/240)より有意に高かった(OR 17.8;95%CI:6.74~47.1;P<0.01.adjusted OR 11.0;95%CI:5.08~23.8).子宮内膜症による後壁癒着が胎盤位置異常をもたらす可能性が高い.
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