顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte-Colony Stimulating Factor:G-CSF)産生腫瘍は肺癌,消化器系の癌,甲状腺癌などでの報告が多く,婦人科腫瘍では比較的稀であり,予後不良といわれている.今回,G-CSF産生を伴う子宮頸癌を経験したので報告する.症例は50歳,1妊1産,49歳閉経,不正性器出血を主訴に救急搬送された.腫瘤が腟内を占拠して外子宮口の同定が不可能であった.著明な貧血と白血球増多および腟腔からの出血と排膿を認め入院加療とした.当初,子宮内感染が疑われたが,CRPの上昇を認めず抗菌薬投与により白血球数に変化がなかった.MRI検査で骨髄の過形成が指摘されたためG-CSF産生腫瘍の可能性を考慮し血中G-CSFを測定したところ127.8 pg/ml(基準値≤39 pg/ml)と上昇していた.組織生検で非角化型扁平上皮癌と診断され広汎子宮全摘術,両側付属器切除術を施行した.白血球数は正常範囲まで低下し,術後放射線単独治療(ネダプラチンアレルギーのため同時化学放射線療法は中止)を開始した.その後,肺転移を来たしたが放射線治療で軽快,維持療法としてパクリタキセル単剤で5コースの化学療法を施行し現在に至っている.
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