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第59巻 第1号

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症例報告
腟内に巨大な腫瘍を形成し悪性腫瘍との鑑別を要した腟内尖圭コンジローマの1例
田中 佑奈, 松浦 寛子, 笹 秀典, 川井 まりえ, 濵口 大志, 羽田 平, 石橋 弘樹, 鈴木 理絵, 宮本 守員, 高野 政志
防衛医科大学校病院産科婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 59(1):27-32, 2022

 尖圭コンジローマは外陰部のみならず,腟内,肛門内,尿道内などにも発生する.今回,巨大な腫瘍を形成し悪性腫瘍との鑑別を要した腟内尖圭コンジローマの1例を経験した.症例は23歳,未妊,腟腫瘍と腟炎の精査目的で紹介された.既往にアトピー性皮膚炎,気管支喘息,クラミジア頸管炎があった.2価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを受けたとのことであった.腟鏡診では,ピンク色の泡沫状帯下を認め,子宮腟部周囲に径5 cmの息肉腫様の腫瘍を認めた.外陰部にも小結節を数個認めた.悪性腫瘍の可能性も考慮し,細胞診・組織診,腟細菌培養,クラミジア検査,画像検索を行った.子宮腟部細胞診はLSIL,組織診ではcondyloma acuminatum,クラミジア核酸検査で陽性,腫瘍マーカーはSCC 2.1 ng/mLであった.尖圭コンジローマ(外陰,腟),クラミジア頸管炎の診断で,アジスロマイシン単回投与,腟内のコンジローマには液体窒素による凍結療法,外陰部にはイミキモド塗布を行った.尖圭コンジローマ病変は徐々に退縮し,治療は終了した.HPV型別判定で,55型,58型が陽性であった.今回の腟内のコンジローマは,発生部位と大きさから悪性腫瘍との鑑別が必要であり,治療にも時間を要した.尖圭コンジローマの診断と治療の重要性と,HPVワクチンの限界を再認識した.

Key words:condyloma acuminate, cervical cancer, cryotherapy, HPV vaccine
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