両側網膜芽細胞腫の既往があり卵巣静脈から発生した平滑筋肉腫を発症し,腫瘍摘出術後の再発に対して複数回の手術療法にて生存を得ている1例を経験したので報告する.症例は46歳,既婚,0妊で,前医婦人科検診の超音波断層像にて充実性腫瘤を認め,当院紹介となった.超音波断層法,MRIにて左骨盤内に70 mmの充実性腫瘤を認め,網膜芽細胞腫の既往があることからRB1遺伝子変異の可能性があり,肉腫の可能性を考え開腹術を施行した.子宮・両側付属器に異常なく,左骨盤内に後腹膜腫瘍を認め,左卵巣動静脈が腫瘍に巻き込まれていた.腫瘍摘出術および,単純子宮全摘術,両側付属器摘出術を施行した.病理組織検査で,後腹膜腫瘍は平滑筋肉腫であり卵巣静脈から発生していた.患者の希望より術後補助化学療法を行わず,定期的な画像検査で再発を診断し,局所再発であったため計2回の外科的切除を行い初回手術から3年6か月生存している.RB1遺伝子変異のある患者において二次がんスクリーニングは現実的でなく,リスクに対するカウンセリングが有用である.また,平滑筋肉腫の再発治療では積極的な外科的切除が有効な可能性がある.
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