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第59巻 第1号

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症例報告
重症妊娠高血圧腎症に対しAT製剤とステロイド投与を行い,妊娠継続した一例
網師本 健佑, 濱田 尚子, 大場 智洋, 小瀧 千尋, 齋藤 水絵, 安井 理, 松下 友美, 瀧田 寛子, 新垣 達也, 徳中 真由美, 松岡 隆, 関沢 明彦
昭和大学医学部産婦人科学教室
関東連合産科婦人科学会誌, 59(1):73-78, 2022

 39歳,初産婦.前医より妊娠24週2日に,血圧上昇,蛋白尿のため,妊娠高血圧腎症(PE)の診断で当院に救急搬送となった.来院時血圧200/109 mmHgと緊急症域で,尿蛋白/Cr比0.59 g/g・Creと軽度の腎障害,血小板11.2万/μLの血小板減少を認め,重症PEと診断し,ニカルジピンと硫酸マグネシウムの持続投与を開始した.血圧は非重症域となったが,25週3日には血小板6.9万/μL,AT(アンチトロンビン)活性70.2%と低下を認めた.肝機能障害や溶血所見はなく,消費性凝固障害を考慮しAT-III製剤を投与したものの血小板数の改善は見られず,免疫性の血小板減少を考慮してプレドニゾロンを投与したところ,AT活性は正常化し,血小板数はやや増加して在胎期間の延長ができた.妊娠27週2日,腎機能障害の増悪を認め,緊急帝王切開を施行した.出生児は616 g(-2.8 SD)の女児で,大きな合併症なくNICU管理中である.産褥期には速やかに血小板数は上昇し,術後8日目に退院した.後方視的に見て,血小板減少はPEによるものと判断した.
 早発型重症PEに対してAT製剤,ステロイドを投与し,在胎週数の延長が可能になった症例を経験した.早発型PEでは臓器障害の進行と加療による病態の修飾,早産のリスクを総合的に判断した上で,慎重に分娩時期の決定を行う必要がある.

Key words:preeclampsia, corticosteroid, antithrombin, thrombocytopenia
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