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第59巻 第1号

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症例報告
皮膚筋炎による皮膚びらんから感染を生じた子宮体癌に対し腹腔鏡下手術を行った1例
峰 優子, 大井 由佳, 堀内 順子, 谷岡 沙紀, 北島 麻衣子, 濱田 春, 村田 千恵, 額賀 沙季子, 小林 奈津子, 茶木 修, 中山 昌樹
横浜労災病院
関東連合産科婦人科学会誌, 59(1):79-85, 2022

 皮膚筋炎には悪性腫瘍の合併が多いことが知られている.今回我々は子宮体癌に皮膚筋炎を合併した症例に対し腹腔鏡下手術を行い,術後早期に皮膚筋炎の治療を開始しえた症例を経験した.症例は52歳女性,0妊0産.皮疹・貧血のため当院受診し,のちに筋力低下・嚥下障害が出現し皮膚筋炎と診断とされ,皮膚症状の増悪にて感染を生じ菌血症を発症した.また,数か月前より不正性器出血を認めており,精査の結果子宮体癌の診断となった.内科と協議の結果,子宮体癌に対する手術療法を優先する方針とし,全腹腔鏡下子宮全摘術・両側付属器摘出術を施行した.最終診断は子宮体癌IA期,類内膜腺癌G3であった.皮膚筋炎による皮膚病変の感染は抗菌薬でコントロール可能となり,手術創部への感染の波及なく術後6日目から内科でステロイド療法開始され,嚥下障害・筋力低下ともに改善傾向となった.進行性の皮膚筋炎は生命にかかわる疾患であり迅速な治療が必要であるが,悪性腫瘍を合併した症例では悪性腫瘍摘出により皮膚筋炎の症状改善が図れるとされ,腹腔鏡下手術ではより早期に内科治療が開始できる可能性がある.皮膚症状が重度,術後治療を早期に開始する必要がある場合等,低侵襲手術としての腹腔鏡下手術は有用な治療の選択肢となりうると考える.

Key words:Dermatomyositis, Endometrial cancer, Laparoscopic surgery
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