子宮頸部明細胞癌は子宮頸部腺癌の4%と稀な組織型である.かつて欧米でDiethylstilbestrol(DES)への子宮内曝露により発生した症例が報告されたが,近年DES非曝露者の症例が報告され,DES以外の因子が考えられている.今回17歳未婚女性に発生した子宮頸部原発の明細胞癌を経験したので文献的考察を加え報告する.
症例は17歳女性,未経妊,性交歴あり.既往歴・家族歴に特記すべき事項はない.2か月前からの不正性器出血を主訴に受診した.腟鏡診で子宮頸部に2 cm大の腫瘤を認め,骨盤MRI検査で子宮頸管から子宮腟部へ突出する2 cm大の腫瘤を認めた.頸部細胞診・組織診でAdenocarcinomaの診断となり,組織診より明細胞癌が疑われた.子宮頸癌IB1期の術前診断で広汎子宮全摘出術,右付属器摘出術,左卵管摘出術および骨盤リンパ節郭清術を施行した.左卵巣は性機能保存のため温存した.病理組織学検査で子宮頸部明細胞癌pT1bN0M0(StageIB1)と診断した.術後補助療法は行わず経過観察中であるが術後17か月の現在まで再発を認めていない.妊孕性温存も視野に精査を進めたが,術前から明細胞癌の疑いが強く,相談の上,広汎子宮全摘出術を選択した.若年であっても不正性器出血を伴う例では細胞診・組織診を含む精密検査が重要である.
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