胸水や腹腔外臓器への遠隔転移を呈する進行卵巣癌,卵管癌,腹膜癌(以下,卵巣癌と表記する)に対し,化学療法後に腫瘍減量手術を行うかどうかはしばしば悩まされる.また,卵巣癌IV期に対する腫瘍減量手術の要否に関する報告は稀少である.
2007年から2015年の間に臨床進行期がIV期と診断し,当院で治療を行った卵巣癌79症例を後方視的に検討した.卵巣癌IV期の5年全生存率43%,5年無増悪生存率15%であった.生存期間に関して年齢,臨床進行期,病理組織型,腫瘍減量手術の項目,で各々にLog rank検定を行ったところ,腫瘍減量手術施行群で有意に生存期間の延長を認めた.Cox比例ハザードモデルを用いて生存期間に関与する因子を検討したところ,全生存期間(OS:Overall Survival),無増悪生存期間(PFS:Progression Free Survival)において,腫瘍減量手術の有無が予後因子として抽出された.
当院で治療を行った卵巣癌IV期症例に対して,腫瘍減量手術が予後良好因子であった.遠隔転移を有するIV期症例に対しても,薬物療法が奏功すれば腫瘍減量手術が予後改善に繋がる可能性が示された.
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