いずれも特記既往のないネパール国籍の初産婦で年齢は26~33歳(中央値30.5歳)であった.妊娠糖尿病が1例で指摘された他は特記異常は指摘されなかった.予定日超過が2例,前期破水で頸管拡張・陣痛誘発となった症例が1例であった.腟細菌培養検査ではいずれも常在菌のみが確認された.帝王切開術の適応は胎児機能不全が2例,分娩停止が1例であった.術中操作に大きな相違はなかった.術後の抗生物質はCMZ 2例,SBT/AMPCが1例であったが,いずれも術後の発熱と血液検査上の炎症反応が改善せず,DOXY開始後に炎症は軽快に転じその後終息した.しかし,1例はDOXYの投与が遅れCTガイド下ドレナージとその後再開腹膿瘍ドレナージ術が必要となった.退院時期は10~20日と幅があり,経験的に早期からDOXYを投与した症例は最短時期での退院となった.3症例全ての形成した膿や術後に再度採取した腟培養検査からMycoplasma hominisが検出され感染症の原因菌と考えられた.現在,3症例共に母児は問題なく経過されているが,帝王切開術後に一般的な抗生物質で炎症が軽快に転じない場合には非定型細菌が起因している可能性を考え早期からの追加治療介入を検討する必要があると考えられた.
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp