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第59巻 第4号

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症例報告
加重型妊娠高血圧腎症にウロキナーゼ胸腔内投与を要した片側性滲出性胸水が合併した1例
蜂須賀 愛, 長澤 さや, 丸山 洋二郎, 水上 奈津子, 九鬼 紗葵, 羽根田 澄枝, 伊藤 陽介, 笠原 華子, 増田 彩子, 濱村 憲佑, 松岡 正造, 荻島 大貴
順天堂大学医学部附属練馬病院産科・婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 59(4):399-405, 2022

 滲出性胸水は妊娠高血圧症候群の合併症としては稀であるが,増悪すると外科処置や在宅酸素療法が必要になる.症例は家族歴に高血圧がある4妊1産の37歳.高血圧合併妊娠でフォローしていた.妊娠36週3日に悪心と頭痛が出現し,その3日後に外来受診した.来院時血圧は重症域であり,軽度意識障害に加え採血上も妊娠高血圧腎症が示唆された.入院後降圧するもコントロール不良であり,NRFSを認めたため,緊急帝王切開術を実施した.児は,新生児仮死で搬送した.母体は肺水腫による酸素化不良のため産褥4日目までICU管理となった.積極的な離床は困難であり,産褥5日目に酸素化不良再燃と吸気時の右側胸痛が出現した.右側片側性胸水を認め,胸水穿刺を実施すると滲出性胸水であり,肺炎随伴性胸水であると考えられた.抗菌薬加療とともに胸腔ドレナージを実施したが,右葉間胸水の残存と酸素需要の持続を認めたため,胸腔ドレーン挿入2日後にウロキナーゼ6万単位を胸腔内投与した.酸素化は改善し更なる侵襲的処置を避けられた.その後複視と左上下肢の痺れが見られ,頭部MRIでPRESもしくは脳梗塞の所見を認めたが,血圧コントロールを継続することで経過観察とし,症状は改善傾向にあった.片側性胸水が出現した際は,長期臥床による無気肺から生じた滲出性胸水出現を念頭に置き,胸水分析を早期に行いウロキナーゼ胸腔内投与を含む早期介入が重要であると考える.

Key words:pulmonary edema, preeclampsia, exudative pleural effusion, urokinase therapy, eclampsia
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