書誌情報

第59巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

症例報告
IUS挿入後に侵襲性GAS感染症をきたしたPIDの1例
春日 みさき, 芳賀 厚子, 吉田 順子, 伊藤 浄樹, 榎本 明美, 市川 清美, 髙木 耕一郎
埼玉協同病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 59(4):431-437, 2022

 GAS(Group A Streptococcus:GAS)感染症は,頻度は低いものの劇症型GAS感染症を呈することがあり早期に治療を行うことが肝要である.我々は腟からの上行性感染に起因したGASによる侵襲性GAS感染症を発症した1例を経験した.さらに,当院で腟分泌物培養からGASを検出した69例の臨床的背景を検討したため報告する.症例は46歳2妊2産,レボノルゲストレル放出子宮内システム(IUS:Intrauterine System)挿入後に発熱・帯下異常を主訴に受診し骨盤内炎症性疾患(PID)の診断で入院加療し血液培養でGASが検出され,侵襲性GAS感染症の診断となり一時は軽快退院した.退院後1か月後腹痛と嘔気を主訴に当院の救急外来を受診した.敗血症性ショックを呈しており骨盤部造影CT検査で腹腔内に多量の液体貯留を認め,緊急腹腔鏡下洗浄ドレナージ術を施行した.血液培養から再びGASが検出され侵襲性GAS感染症の再燃と診断した.抗生剤,γグロブリン投与を行い軽快退院した.当院で2016年から2020年までの5年間で腟分泌物培養からGASを検出した症例は11,654例中69例(0.6%)であり,入院加療を行った症例は本症例を含め5例であった.咽頭痛を伴わない症例も多くIUS挿入や内膜細胞診などの処置により腟粘膜から上行性感染をきたし,GAS感染症を発症したと考えられた.

Key words:Group A Streptococcus, Levonorgestrel Intra Uterine System, pelvic inflammatory disease, Severe invasive streptococcal disease, Endometrial cytopathology
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会