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第59巻 第4号

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症例報告
帝王切開分娩後に肺動脈性肺高血圧症と診断された一例
諌山 瑞紀, 永井 優子, 小口 早綾, 須藤 麻実, 坂中 都子, 市川 良太, 新井 ゆう子, 西田 正人
国立病院機構霞ヶ浦医療センター産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 59(4):439-445, 2022

 肺動脈性肺高血圧症は,肺血管の狭窄による心拍出量低下や呼吸不全を呈する病態である.高い周産期リスクから,原因に関わらず原則妊娠禁忌とされている.しかし,妊娠可能年齢の女性に好発することから,妊娠・分娩を契機に発症・診断される例が報告されている.今回,分娩後の酸素化低下や意識消失発作を機に肺動脈性肺高血圧症と診断された症例を経験したので報告する.
 症例は23歳,2妊0産,パキスタン人.自然妊娠.家族歴として,実姉が産褥期突然死している.妊娠経過は順調に経過し,妊娠37週3日,骨盤位を適応に予定帝王切開で分娩となった.術中経過は異常なかったが,術後に酸素化不良および繰り返す意識消失発作を認めた.造影CT検査では肺血栓は認めず,心臓超音波検査を施行したところ,右室右房圧較差62 mmHgであり,肺高血圧症が疑われた.循環器内科によって右心カテーテル検査が施行され,平均肺動脈圧(mPAP)54 mmHg,肺動脈楔入圧5 mmHg,肺血管抵抗12 WUを認め,肺動脈性肺高血圧症と診断された.その後,PDE5阻害剤,エンドセリン受容体拮抗薬,PGI2製剤持続静注の3剤併用療法が導入され,肺高血圧は改善し術後28日に退院となった.
 妊娠中・産後の酸素化不良や意識消失発作を認めた場合には,肺高血圧症も鑑別に入れ,早期診断・早期治療につなげることが重要である.

Key words:Pulmonary arterial hypertension, pregnancy
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