書誌情報

第59巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

症例報告
初回化学療法後の残存腫瘍に対する治療介入の時期に苦慮した混合性胚細胞腫瘍の一例
相原 隆充, 松永 竜也, 佐藤 理穂, 宇都宮 真理子, 道佛 美帆子, 瀬川 恵子, 大井 由佳, 笠井 絢子, 茶木 修
横浜労災病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 59(4):447-454, 2022

 胚細胞腫瘍では初回化学療法後の残存腫瘍に対する治療戦略が十分に確立されていない.残存腫瘍は病理学的特徴により化学療法,手術療法などアプローチ法が異なるが,画像所見のみで推測することは難しい.今回,初回化学療法後に腫瘍マーカーは陰性化したが,画像上腫瘍の残存を認め,治療介入時期に苦慮した症例を経験した.症例は21歳,0妊0産.MRIで17 cm大の左卵巣腫瘍を認め,LDH 1,543 U/L,AFP 55,333 ng/mlで胚細胞腫瘍が疑われた.初回手術で左付属器と大網を切除した.骨盤底左側から子宮後面に4 cm大のシート状病変が残存した.腫瘍は卵黄囊腫瘍が98%,未熟奇形腫,未分化胚細胞腫,胎芽性癌,絨毛癌の混合性胚細胞腫瘍であった.手術進行期IIA期と診断し,BEP療法を4サイクル施行した.腫瘍マーカーは陰性化したが,化学療法施行前に12 cmに増大した腫瘍は4 cm大に縮小したものの残存した.残存腫瘍に悪性細胞の残存が否定できず,病理学的検索および治療目的の手術を施行した.腫瘍は直腸間膜上に存在し,腫瘍のみを摘出できた.腫瘍に悪性細胞の残存はなく,壊死組織のみが存在した.胚細胞腫瘍の初回治療後の残存腫瘍では残存腫瘍の位置,初回手術検体の病理学的特徴から残存腫瘍の病理学的推測を行い,治療介入の時期や再手術の際の術式を症例毎に選択することが重要である.

Key words:germ cell tumor, MOGCT, residual tumor, SDS
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会