CIN3にて子宮全摘術を施行した後の再発は稀である.CIN3にて腹式単純子宮全摘術施行後5年7か月で,腟断端部に再発した腫瘤により腸閉塞と水腎症をきたした症例を経験した.
症例は52歳 1妊1産 46歳時CIN3に対し腹式単純子宮全摘術を施行した.病理所見ではCIN3,腟断端は陰性であった.術後5年間経腟超音波,腟断端細胞診でフォローを行っていたが,再発を疑う所見は認めなかった.術後5年7か月目に,腸閉塞の診断で当院外科に転院搬送となり,その際の造影CTで腟断端部右側に6.5 cm大の腫瘤を認めた.膀胱,小腸,右付属器,右尿管を巻き込む腫瘤で,腸閉塞や右水腎症を認めた.当科紹介となり,腟断端部に肉眼的には病変は確認できなかったが,腟断端部細胞診ではASC-Hであった.
腸閉塞解除目的に小腸バイパス術を施行した.その際に両側付属器切除を行った.右付属器の病理診断では角化傾向を示す扁平上皮癌を認めた.病変の主座を考慮すると,CIN3の腟断端部再発が考えられた.
今回,CIN3で子宮全摘術後に腟断端部再発し,腸閉塞や水腎症をきたした症例を経験した.子宮全摘術後5年以上経過し,局所再発する可能性もあるため慎重に外来管理する必要がある.
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