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第60巻 第1号

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原著
第4度会陰裂傷49例の検討
山口 真由, 山田 学, 細川 さつき, 有馬 香織, 渡邊 理子, 笠井 靖代, 木戸 道子, 宮内 彰人
日本赤十字社医療センター
関東連合産科婦人科学会誌, 60(1):1-5, 2023

 会陰裂傷が直腸粘膜まで達する第4度会陰裂傷では,感染や排便障害,瘻孔形成など様々な合併症を来す可能性がある.第4度会陰裂傷のリスク因子の報告はあるが,修復法や管理法別の治療成績の報告は少ない.2008年から2021年の間に当院で発生した第4度会陰裂傷49例について,リスク因子,修復方法,術後管理,転帰を診療録を用いて後方視的に検討した.検討期間の経腟分娩29,888件に対し第4度会陰裂傷は49例(0.16%)であった.リスク因子についての多変量解析では年齢,児出生体重3,500 g以上,経腟分娩歴なし,陣痛促進剤の使用,回旋異常,会陰切開なし,鉗子・吸引分娩との関連が見られた.修復法は3-0バイクリルを用いて全層筋層または粘膜筋層の二層縫合を単結紮で行った例が多かった.16例(33.3%)で脊椎麻酔下の縫合としていた.多くの症例で抗菌薬を静注投与し,食事は常食としていた.全例で緩下剤を投与していた.49例中48例で一期的修復術が行われ,45例で治癒した.局所麻酔下で修復した3例で直腸腟瘻が生じ,1例は保存加療,2例は再手術を行い,治療後はいずれも排便障害を認めなかった.第4度会陰裂傷のリスク因子は既報と概ね同様であり,鉗子・吸引分娩が特に強いリスク因子であった.修復においては,十分な麻酔下で行うことが合併症の防止につながると考えられた.

Key words:Fourth-degree perineal laceration, Obstetric labor complications, Extraction obstetrical, Episiotomy, Rectovaginal fistula
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