子宮筋腫に対する腹腔鏡下子宮全摘術の際に,臍部子宮内膜症に対し形成外科により臍部子宮内膜症切除術および臍形成術を施行した症例を経験したので報告する.症例は47歳0妊0産,43歳頃より過多月経および月経期に臍部の疼痛,腫瘤を自覚していた.多発子宮筋腫の診断で経過観察されたが,貧血症状の増悪のため当院に紹介となった.MRI検査で多発子宮筋腫を認め,臍部6時方向の腹壁にT1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号を呈する約10 mm大の腫瘤を認め臍部子宮内膜症が疑われた.レルゴリクスを12週間内服後に臍部腫瘤の縮小,疼痛改善を認めたため,臨床的に臍部子宮内膜症と診断した.形成外科と協議の上,子宮筋腫に対する腹腔鏡下子宮全摘術,及び臍部子宮内膜症に対する臍部子宮内膜症切除術,臍形成術を同時に施行した.臍部子宮内膜症病変を避け臍上部にトロカールを挿入し腹腔鏡下子宮全摘術を施行後,形成外科に術者を交代し,腹直筋前鞘の深さまで臍部腫瘤を局所切除後,臍形成術を施行した.臍部腫瘤の病理組織診断は子宮内膜症であった.稀少部位子宮内膜症の診断,治療においては他科との連携が重要となることが多い.本症例では子宮筋腫に対する腹腔鏡下子宮全摘術の際に形成外科医による臍部子宮内膜症切除術,臍形成術を施行することで根治性および美容面でも満足度の高い手術を施行し得た.
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