びまん性肺転移を契機に子宮体部の悪性血管周囲類上皮細胞腫(PEComa:Perivascular epithelioid cell tumor)と診断され,診断後6か月で死亡に至った1例を経験したので報告する.症例は42歳,2妊1産,体調不良のため受診した近医での胸部レントゲン検査でびまん性結節性陰影を認め,当院呼吸器内科へ紹介となった.全身精査の単純CTで両肺に多発転移を疑う所見・子宮腫大・多発リンパ節腫大・左坐骨溶骨性変化を認め,婦人科に紹介となった.骨盤MRIでは子宮体部に悪性腫瘍を示唆する信号変化を認めた.子宮内膜組織診では悪性の診断に至らず,診断目的に腹式子宮全摘術,両側付属器摘出術,左骨盤リンパ節生検術を施行した.術後診断はPEComa IVB期pT2aN1M1(骨盤リンパ節転移,多発肺転移,左坐骨転移)となった.術後1か月でmTOR(mammalian target of rapamycin)阻害薬の内服治療と骨転移に対してビスホスホネート製剤を開始したが,治療が奏効せず術後6か月で永眠された.悪性PEComaの症例報告は散見されるが,適切な診断法・治療法が確立されていない.悪性PEComaの中でも遠隔転移を契機に発見される症例や死亡例の報告は極めて少なく,今回の症例を報告した.
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