妊娠中に診断される急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL)は極めて稀であり,発症した場合には病状や妊娠週数,化学療法の母児への影響等を考慮して治療方針や分娩時期,分娩様式を決定する必要がある.今回妊娠中にALLを発症・診断し良好な周産期管理を行うことが出来た1例を経験したので報告する.
症例は29歳,2妊0産(流産1回).妊娠28週に右腰痛と背部痛で当院を初診した.貧血,血小板数減少,白血球数増加を認め,骨髄検査でPhiladelphia染色体陰性ALLと診断した.妊娠中に化学療法を行う方針となり,妊娠29週から寛解導入療法を開始し,妊娠36週で帝王切開術を施行した.
胎児形態異常や羊水過少等の産科疾患を認めず妊娠を終結でき,出生後も児に発達発育障害はなかった.妊娠中期以降でALLを発症した場合は,妊娠週数と予後因子を考慮した上で積極的に妊娠中の化学療法を行うことも選択肢の一つである.
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