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第60巻 第1号

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症例報告
双胎妊娠中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し,HELLP症候群疑い,胎児機能不全のため妊娠終結に至った1例
清水 祐里1), 田中 ゆりあ1), 川上 香織1), 小林 理1), 加藤 果野子1), 中島 隆広1), 小松 篤史1), 佐藤 美紀子1), 千島 史尚1), 増田 しのぶ2), 川名 敬1)
1)日本大学医学部附属板橋病院産婦人科
2)日本大学医学部附属板橋病院病態病理学系腫瘍病理学分野
関東連合産科婦人科学会誌, 60(1):65-70, 2023

 妊娠後期のCOVID-19感染は,母体の重症化と産科的合併症率の増加が指摘されている.COVID-19の重症化と,HELLP症候群の血液検査所見は類似しており鑑別が困難である.今回,双胎妊娠中にCOVID-19に罹患し,HELLP症候群疑いのため妊娠終結に至った1例を経験したので報告する.症例は29歳1妊0産,二絨毛膜二羊膜双胎.妊娠27週6日,COVID-19感染が判明し入院管理とした.妊娠29週0日,血小板数の急激な低下(6.9万/μL),D-dimerの上昇(20.6 μg/ml),LDHの上昇(422 U/L),肝酵素上昇(AST 52 U/l,ALT 21 U/l)を認めた.COVID-19としては微熱と軽度の肺炎像のみであった.COVID-19の重症例では血小板数の低下やLDHの上昇がみられるが,本症例の臨床所見とは乖離があり,HELLP症候群を鑑別疾患としてあげた.また胎動減少の自覚や胎児心拍数陣痛図で基線細変動の減少がみられ,妊娠29週1日緊急帝王切開を施行した.児は970 g,Apgar score 3/9と1,120 g,Apgar score 6/9であった.術後,肝酵素,血小板数,LDH値は正常範囲となり退院した.
 妊娠後期のCOVID-19感染は生理学的にCOVID-19感染の重症化と産科的合併症を来す可能性が高いため,厳重な管理が必要である.

Key words:COVID-19, HELLP syndrome, pregnancy, twin, non-reassuring fetal status
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