寄生筋腫とは,子宮との連続性が失われた子宮筋腫が子宮以外の臓器からの栄養血管により発育した状態をいう.今回,腹腔鏡下子宮筋腫核出術(Laparoscopic myomectomy;LM)後に消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor;GIST)との鑑別を要したが,術前診断にLM時のMRI所見との比較が有用であった寄生筋腫の1例を経験したため報告する.
症例は38歳の女性で33歳時にLMを施行された.摘出筋腫の腹腔外搬出は組織回収用バッグで行われ,病理結果は富細胞性平滑筋腫であった.4年後に子宮背側に上直腸動脈から血流支配を受け,子宮と連続性のない長径10 cmの骨盤内腫瘤が出現した.MRI検査で腫瘤は直腸に連続し,4年前に摘出した筋腫の信号と類似していた.寄生筋腫を第一に考えたが,GISTを否定できず,短期間で増大していたこともありGISTを念頭に置いた手術療法の方針とした.妊孕性温存希望はなく,子宮に子宮筋腫も再発しており腹式単純子宮全摘術と直腸低位前方切除術を施行した.術中所見では,腫瘤は直腸と連続しダグラス窩に存在していたが,子宮と両側付属器とは連続していなかった.摘出腫瘤の病理検査は平滑筋種と判断し,寄生筋腫と診断した.
寄生筋腫ではGISTとの鑑別を要する場合があるが,摘出した筋腫のMRI検査所見と比較することが診断の一助になる可能性が示唆された.
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