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第60巻 第1号

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症例報告
破裂を契機に診断され,卵巣子宮内膜症性囊胞由来と推察された癌肉腫の一例
向山 文貴, 塙 真輔, 河内 健二, 佐藤 史郎, 西方 紀子, 真田 道夫, 山ノ内 美紀, 海野 洋一, 小幡 新太郎
成田赤十字病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(1):93-98, 2023

 卵巣子宮内膜症性囊胞から癌肉腫が発生することは稀である.今回,卵巣腫瘍破裂の診断で緊急手術を行い,卵巣子宮内膜症性囊胞由来と推察される卵巣癌肉腫と診断された一例を経験したので報告する.
 患者は51歳,0妊0産.尿管結石の診断時に撮影されたCT検査で偶発的に卵巣腫瘍を指摘された.近医の経腟超音波検査で充実部分を含む6.5 cmの左卵巣腫瘍を指摘され,精査加療目的で当科紹介予定であったが,受診が遅れ,5か月後に急性腹症で当科救急外来を受診した.造影CT検査で左卵巣に7.2 cmの緊満感に乏しい単房性囊胞性腫瘤を認め,上腹部まで達する腹水を認めた.経腟超音波検査では左卵巣腫瘍は血腫様の不均一な内部エコーを示し,腫瘍壁に2 cmの充実部分を認めた.左卵巣子宮内膜症性囊胞または卵巣がんの破裂の診断で腹式両側付属器切除術,大網部分切除術,腹腔内洗浄ドレナージ術を施行した.左卵巣腫瘍は破綻し,黒褐色の腹水を大量に認めた.病理組織診断は卵巣癌肉腫(癌腫は類内膜癌~低分化癌,肉腫は同所性)で子宮内膜症性囊胞由来と推察された.1か月後に単純子宮全摘術および大網亜全摘術を行い,卵巣癌肉腫pT1c2NxM0の最終診断で,術後補助化学療法を行い経過観察中である.
 卵巣子宮内膜症性囊胞からは,稀ではあるが,癌肉腫といった予後不良な悪性腫瘍が発生しうる.

Key words:ovarian carcinosarcoma, endometriotic cyst, endometriosis
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